vol.128 海外ビジネス、こんな企業にはおすすめしません

はい、皆さんこんにちは。

海外ビジネスに興味がある、あるいは検討されている方も多いのではないでしょうか。
国内市場の縮小が叫ばれる中、新たな活路を海外に求める企業も増えています。

ですが、海外ビジネスは単なる市場拡大や販路開拓とは少し性質が異なります。
私たちは、海外ビジネスを「新規事業」として捉えるべきだと考えています。

今回は、なぜ海外ビジネスが新規事業と同じくらい大変なのか、そして
本当に海外ビジネスを始めるべきなのかどうかを判断するためのポイントをお話しします。

なぜ海外ビジネスは「新規事業」と同じ?

国内でビジネスをされている皆さんには、すでにある「当たり前」のものがたくさんあります。例えば、

  • 知名度: 業界内での知名度や評判
  • 信頼: これまでの取引先との信頼関係
  • 販路: 確立された流通経路や販売網
  • ニーズ: 業界内で求められている商品やサービスへの理解

これらは、長年国内でビジネスを続ける中で築き上げてきた、かけがえのない資産です。

しかし、海外に目を向けた瞬間、これらの資産はゼロになります。
現地の誰も御社のことを知りませんし、信頼関係も販路もありません。
求められているニーズも、国内とは大きく異なる可能性があります。

まさに、ゼロからスタートする「新規事業」と同じ状態なのです。

海外ビジネスで必要になる「時間・労力・工夫」

新規事業である海外ビジネスを成功させるためには、
国内ビジネスとは比較にならないほどの「時間」「労力」「工夫」が必要になります。

具体的には、

  1. 時間:
    • 現地の取引先や顧客との信頼関係をゼロから築くには、長い時間が必要です。
    • 未知の市場を理解するための市場調査にも時間を要します。
  2. 労力:
    • 市場理解のための調査には、現地に赴いて情報を収集したり、デスクトップリサーチを徹底的に行ったりする労力がかかります。
    • ターゲットとする市場の流通構造、競合他社の製品や価格、プレイヤーなどを詳細に把握する必要があります。
  3. 工夫:
    • 誰をターゲット顧客とするか、どうすれば競合他社と差別化して選ばれるかなど、根本的なマーケティング戦略・戦術をゼロから考え抜く工夫が必要です。
    • ターゲット顧客にどのようにアプローチし、販路を築いていくのか、具体的な方法を確立しなければなりません。

これらの要素を無計画に進めてしまうと、時間や労力をかけたにも関わらず、
何年経っても成果が出ない、といった事態になりかねません。

海外ビジネスの先に「新たな収益源」が見える可能性

もちろん、海外ビジネスに挑戦する魅力的な理由はたくさんあります。

日本国内は1億人という巨大な市場ですが、
今後は人口減少により縮小傾向にあると言われています。

一方、世界には80億人もの人々がおり、今後も人口が拡大する地域が多くあります。

企業の永続的な経営を考える上で、拡大傾向にある海外市場の需要を
取り込んでいくことの重要性は増しています。そのためには、
将来を見据えた早期の「種まき」が必要だと考える企業も多いでしょう。

本当に海外ビジネスが必要ですか?国内ではダメですか?

しかし、ここで立ち止まって考えていただきたいことがあります。

海外ビジネスには、先述の通り、多大な時間、労力、工夫といったリソースが必要です。

もし、あなたが海外ビジネスで「3年後に売上200万~300万を目指したい」
と考えているとします。その目標は、本当に国内市場では達成できないものでしょうか?
国内の既存事業をもう少し深掘りしたり、新たな国内の販路を開拓したりすることで、達成できる可能性はありませんか?

もし、国内で十分達成可能な目標なのであれば、
わざわざ多大なリソースを投じて海外ビジネスを始める必要はない、という考え方もできます。

海外ビジネスを始める前に、今一度確認すべきこと

結局のところ、企業として海外ビジネスに挑戦するかどうかは、
「目標とする数値が明確に設定されているか」「そして、その目標数値は国内ビジネスだけでは達成できないものなのか」
という点が、非常に重要になってきます。

安易に「海外に出よう」と考えるのではなく、

  • 明確な目標数値(売上、シェアなど)は何円/何%なのか?
  • その目標は、国内市場の深掘りでは到底到達できないものなのか?
  • 目標達成のために必要な多大な時間・労力・工夫を投じる覚悟があるか?

ここを、今一度、自社の状況と照らし合わせて見つめ直していただくことをお勧めします。

まとめ

海外ビジネスは、大きな可能性を秘めていますが、
同時に「新規事業」としてゼロから全てを構築する困難も伴います。
漠然としたイメージや期待だけで始めるのではなく、
明確な目標設定と、それに見合うリソース投入の覚悟が必要です。

まずはご自身のビジネスの目標をしっかり見つめ直し、
「本当に海外でないと達成できないのか?」を問い直してみましょう。
その上で、海外進出が最善の道だと判断できれば、必要な時間、労力、工夫を惜しまず、
戦略的に取り組んでいきましょう。

今回の内容が、皆さんの海外ビジネス検討の一助となれば幸いです。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

社外海外部長・社外COO
海外ビジネスの最大化、ドンブリ経営からの脱却を目指していきませんか?
20年にわたり海外ビジネスに携わり、2度の東南アジア駐在を経験。海外営業マンとして海外の最前線で活躍し、30カ国以上計100社以上の海外企業との販売取引を実現。
また海外現地法人の責任者として外国人組織をリード。会社経営の最適化と事業の活性化に注力。

これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。2025年法人成りし、Atari Consulting株式会社を創立。クライアント企業の内側から、社外海外部長・社外COOとしてコンサルティング支援中。

屋号:Atari Consulting株式会社
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