こんにちは。
今回はマーケティング戦略の基礎フレームとして非常に重要な「5つの戦略要素」についてお話しします。
この5つを整理するだけで、自社の販売コンセプト=何をどう売るのかが一気に明確になります。
海外展開でも国内販売でも共通して使える考え方ですので、ぜひ自社に当てはめながらみてください。

1. ターゲット顧客(Customer)
最初に考えるべきは「ターゲット顧客」です。
よくある失敗が、“誰でも買える商品だから、誰でもターゲット”としてしまうことです。
マーケティングの基本は 「特定の顧客に刺さること」。
そのためには、以下のように顧客を深堀し具体化していきます。
・どの国の?
・どの都市の?
・どの市場セグメントの?
・どんな悩みやニーズを持った顧客なのか?
例えば、化粧品メーカーだとすると、ターゲット顧客が「30代の女性」という大きな括りでは戦略が立てづらく、
もっと細かいセグメント分けが必要です。例を挙げると
- 肌の乾燥やエイジングが気になる層
- ニキビや毛穴トラブルに悩む層
- 敏感肌で化粧品選びに苦労している層
では、同じ“化粧品ユーザー”であっても、悩みが違うため求める商品もまったく異なります。
このように、同じカテゴリーの顧客でも、「悩み」という切り口で見ていくと、ニーズ・価格帯・購買動機が大きく異なることがわかります。
つまり、セグメントの精度と粒度をどれだけ細かく設定できるか が、後のターゲット選定や戦略設計をスムーズにする鍵となります。
2. 戦場・競合(Battle Field)
次に考えるのが「戦場」と「競合」です。
まず“戦場”とは、
あなたの会社が、どんな価値の争いに参加しているのか?
という視点です。
これは、マクドナルドで考えると非常にわかりやすい例があります。
マクドナルドはハンバーガー屋さんですが、
どの市場で戦うか によって、提供する価値と競合が変わってしまうのです。
たとえば、
- お昼時に“早い・安い・便利”を売りにする市場で勝負する場合
→ 競合は吉野家や松屋のような“早くて安い”外食チェーンになります。 - “Mac Café”のように、一息つける空間・カフェ体験の市場で勝負する場合
→ 今度はスターバックスやカフェチェーンが競合になり得ます。
このように、
ハンバーガー屋として有名なマクドナルドであっても、
どの市場(戦場)で戦うかによって、競合も価値提案もまったく変わる
ということです。
だからこそ、自社の商品がどの“戦場”で勝つべきなのかを明確にすることが、戦略設計の重要な第一歩になります。
そしてその戦場で戦う“競合”とは、ターゲット顧客があなた以外に考えうる他の選択肢ということです。
こうした「顧客の選択肢」を理解しない限り、自社の立ち位置がぼやけて、正しいポジション取りはできません。
3. 強み(Strength)
3つ目は「強み」です。
これは“自社が思う強み”ではなく、顧客が、競合と比べてあなたの会社を選ぶ理由
のことです。
そして似た製品が並んだとき、選んでもらうために必要なのが「差別化」ポイントです。
例えば、御社には他社の追随を許さない圧倒的な
・品質が良いのか?
・価格で安いのか?
・スピードが早いのか?
・サービスが良いのか?
など、この強みを明確にすることで、戦略の軸が固まります。
4. 独自資源(Asset)
次に「独自資源」です。
独自資源とは、あなたの会社の“強みを支えている裏側の資産”のことを指します。
これは ハード面の資源 と ソフト面の資源 の両方があり、どちらも長期的な競争優位につながります。
たとえば ハード資源 で言えば、
- 大量生産を実現する自社工場
- 自社だけが保有する最先端の製造設備
- 利便性抜群の場所
といった “目に見える資産”が挙げられます。
一方、ソフト資源 としては、
- 長年積み上げてきた信頼とブランド力
- 特許や独自の技術力、ノウハウ
- 優良メーカーとの独占契約や業界コネクション
など、“目には見えないけれど他社が簡単に真似できない資源” が含まれます。
これらハードとソフトの独自資源が強みを下支えすることで、他社には真似できない優位性が生まれます。
5. メッセージ(Selling Message)
最後は「メッセージ」です。
せっかく良いものがあっても顧客にメッセージを届けなければ何も起こりません。
そのメッセージをターゲット顧客に対して“どう伝えるか”というポイントをご紹介します。
メッセージを構築するポイントとしては、
・何が言いたいのか?(主張)
・なぜそれが良いのか?(理由)
・その根拠は?(データ・事例)
・結論として何をしてほしいのか?
ここを整理することですべての表現が一本の軸で繋がり、営業資料、展示会のポップ、YouTubeの説明文、広告などでも効果が高まります。
顧客の「欲しい」を引き出すために、メッセージにインパクトとストーリー性を取り入れ、強みを正しく伝えきることが大切になります。
まとめ
以上が、マーケティング戦略を設計するうえでの5つの要素です。
- ターゲット顧客
- 戦場・競合
- 強み
- 独自資源
- メッセージ
この順番で整理すると、
「自社はどの市場で、誰に、何を、どのように売るのか」
が明確になり、販売コンセプトが一本の軸になります。
海外展開においても、このフレームが非常に役立ちますので、ぜひ活用してみてください。

