vol.141 自社の売り方が整う!マーケティング戦略の基本5要素を徹底解説

こんにちは。
今回はマーケティング戦略の基礎フレームとして非常に重要な「5つの戦略要素」についてお話しします。

この5つを整理するだけで、自社の販売コンセプト=何をどう売るのかが一気に明確になります。
海外展開でも国内販売でも共通して使える考え方ですので、ぜひ自社に当てはめながらみてください。


1. ターゲット顧客(Customer)

最初に考えるべきは「ターゲット顧客」です。
よくある失敗が、“誰でも買える商品だから、誰でもターゲット”としてしまうことです。

マーケティングの基本は 「特定の顧客に刺さること」
そのためには、以下のように顧客を深堀し具体化していきます。

・どの国の?
・どの都市の?
・どの市場セグメントの?
・どんな悩みやニーズを持った顧客なのか?

例えば、化粧品メーカーだとすると、ターゲット顧客が「30代の女性」という大きな括りでは戦略が立てづらく、
もっと細かいセグメント分けが必要です。例を挙げると

  • 肌の乾燥やエイジングが気になる層
  • ニキビや毛穴トラブルに悩む層
  • 敏感肌で化粧品選びに苦労している層

では、同じ“化粧品ユーザー”であっても、悩みが違うため求める商品もまったく異なります。

このように、同じカテゴリーの顧客でも、「悩み」という切り口で見ていくと、ニーズ・価格帯・購買動機が大きく異なることがわかります。
つまり、セグメントの精度と粒度をどれだけ細かく設定できるか が、後のターゲット選定や戦略設計をスムーズにする鍵となります。


2. 戦場・競合(Battle Field)

次に考えるのが「戦場」と「競合」です。

まず“戦場”とは、
あなたの会社が、どんな価値の争いに参加しているのか?
という視点です。

これは、マクドナルドで考えると非常にわかりやすい例があります。
マクドナルドはハンバーガー屋さんですが、
どの市場で戦うか によって、提供する価値と競合が変わってしまうのです。

たとえば、

  • お昼時に“早い・安い・便利”を売りにする市場で勝負する場合
     → 競合は吉野家や松屋のような“早くて安い”外食チェーンになります。
  • “Mac Café”のように、一息つける空間・カフェ体験の市場で勝負する場合
     → 今度はスターバックスやカフェチェーンが競合になり得ます。

このように、
ハンバーガー屋として有名なマクドナルドであっても、
どの市場(戦場)で戦うかによって、競合も価値提案もまったく変わる

ということです。

だからこそ、自社の商品がどの“戦場”で勝つべきなのかを明確にすることが、戦略設計の重要な第一歩になります。

そしてその戦場で戦う“競合”とは、ターゲット顧客があなた以外に考えうる他の選択肢ということです。
こうした「顧客の選択肢」を理解しない限り、自社の立ち位置がぼやけて、正しいポジション取りはできません。


3. 強み(Strength)

3つ目は「強み」です。
これは“自社が思う強み”ではなく、顧客が、競合と比べてあなたの会社を選ぶ理由
のことです。

そして似た製品が並んだとき、選んでもらうために必要なのが「差別化」ポイントです。
例えば、御社には他社の追随を許さない圧倒的な

・品質が良いのか?
・価格で安いのか?
・スピードが早いのか?
・サービスが良いのか?

など、この強みを明確にすることで、戦略の軸が固まります。


4. 独自資源(Asset)

次に「独自資源」です。
独自資源とは、あなたの会社の“強みを支えている裏側の資産”のことを指します。
これは ハード面の資源ソフト面の資源 の両方があり、どちらも長期的な競争優位につながります。

たとえば ハード資源 で言えば、

  • 大量生産を実現する自社工場
  • 自社だけが保有する最先端の製造設備
  • 利便性抜群の場所

といった “目に見える資産”が挙げられます。

一方、ソフト資源 としては、

  • 長年積み上げてきた信頼とブランド力
  • 特許や独自の技術力、ノウハウ
  • 優良メーカーとの独占契約や業界コネクション

など、“目には見えないけれど他社が簡単に真似できない資源” が含まれます。

これらハードとソフトの独自資源が強みを下支えすることで、他社には真似できない優位性が生まれます。


5. メッセージ(Selling Message)

最後は「メッセージ」です。
せっかく良いものがあっても顧客にメッセージを届けなければ何も起こりません。
そのメッセージをターゲット顧客に対して“どう伝えるか”というポイントをご紹介します。

メッセージを構築するポイントとしては、

・何が言いたいのか?(主張)
・なぜそれが良いのか?(理由)
・その根拠は?(データ・事例)
・結論として何をしてほしいのか?

ここを整理することですべての表現が一本の軸で繋がり、営業資料、展示会のポップ、YouTubeの説明文、広告などでも効果が高まります。

顧客の「欲しい」を引き出すために、メッセージにインパクトとストーリー性を取り入れ、強みを正しく伝えきることが大切になります。


まとめ

以上が、マーケティング戦略を設計するうえでの5つの要素です。

  1. ターゲット顧客
  2. 戦場・競合
  3. 強み
  4. 独自資源
  5. メッセージ

この順番で整理すると、
「自社はどの市場で、誰に、何を、どのように売るのか」
が明確になり、販売コンセプトが一本の軸になります。

海外展開においても、このフレームが非常に役立ちますので、ぜひ活用してみてください。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

社外海外部長・社外COO
海外ビジネスの最大化、ドンブリ経営からの脱却を目指していきませんか?
20年にわたり海外ビジネスに携わり、2度の東南アジア駐在を経験。海外営業マンとして海外の最前線で活躍し、30カ国以上計100社以上の海外企業との販売取引を実現。
また海外現地法人の責任者として外国人組織をリード。会社経営の最適化と事業の活性化に注力。

これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。2025年法人成りし、Atari Consulting株式会社を創立。クライアント企業の内側から、社外海外部長・社外COOとしてコンサルティング支援中。

屋号:Atari Consulting株式会社
住所:愛知県名古屋市中区金山1丁目14-16 トキワビル5階Voltage名古屋
電話:080-4159-8174