
みなさん、こんにちは。
今回は「需要調査(釣堀と魚の特定)」について、実務でどう進めるかを解説します。
海外市場に進出するとき、まず確認すべきは「その市場にどれくらい需要があるのか」。
つまり、「魚がたくさんいる池なのか」を調べることから始めます。
需要の洗い出しイメージ
スライドの左側にある図をご覧ください。
まずは大きなマーケット全体を把握し、そこからターゲット層を絞り込んでいきます。
- 市場全体(母数)
- ターゲット層
- 購入頻度や供給量
- 競合とのシェア
こうした要素を順番に落とし込むことで、最終的に「現実的に狙える売上ボリューム」が見えてきます。
消費財メーカーの例
例えば日用品メーカーの場合です。
- 総人口を調べる
- その中で購買力を持つ層を特定する
- 年間購入頻度を推定する
- 競合のシェアを見積もる
- そこから売上金額を算出する
具体的には、人口統計は政府の統計局や国際機関のデータを活用できます。
また、消費習慣や購入頻度は、現地の市場調査レポートやディストリビューターへのヒアリングが役立ちます。
生産財メーカーの例
一方で、建築資材や機械部品といった 生産財メーカー の場合は、切り口が違います。
ここでは「消費」ではなく「生産量」から需要を割り出します。
- 住宅着工数や工場建設数などの生産規模を調べる
- ターゲットとなる需要層(例:高級住宅や特定産業)を特定する
- 競合や供給量を調べる
- 自社が取り得るシェアを推定する
この情報は、現地の業界団体、建設許可の統計、あるいは商社や工業会の情報から入手できます。
データ収集の実務ポイント
では、実際にどうやって情報を集めるのか。ポイントは大きく3つです。
- 公的データ
政府統計局、国際機関(IMF、世界銀行、国連データ)、JETROの調査など。信頼性が高い。 - 民間調査・業界レポート
民間の調査会社やシンクタンク、コンサル会社のレポート。費用はかかるが最新動向を把握できる。 - 現地ヒアリング
ディストリビューター、小売店、業界団体に直接聞く。机上の数字だけでなく、生の声が得られる。
この3つを組み合わせて精度を高めることが重要です。
まとめ
需要調査の流れをまとめると、
- 市場の母数を把握する
- ターゲット層を絞り込む
- 購入頻度や供給量を考慮する
- 競合シェアを踏まえて売上を算出する
- そのために、公的データ・民間調査・現地ヒアリングを活用する
こうしたステップを踏むことで、「この池に魚がどれくらいいて、自分はどのくらい釣れるのか」を数字で見える化できます。
以上、「需要調査(釣堀と魚の特定)」の実務的な進め方を解説しました。
海外展開を検討される際には、ぜひ机上の数字と現地の声の両方を組み合わせて、
確度の高い市場判断につなげていただければと思います。