vol.138 中小企業向け海外マーケットリサーチ②流通調査〜マーケットの解像度を上げよう!

みなさん、こんにちは。
今回は「流通調査(水とパイプ)」について解説します。

需要調査で「魚がいる池」を見つけたら、次は「どうやってその魚に水を届けるか」。
つまり、ターゲット顧客に商品を届けるための流通経路、パイプを調べる必要があります。

業界構造を理解する

スライド左側をご覧ください。
日用品メーカーを例にすると、モノの流れは次のようになります。

  1. メーカー
  2. 販売店(ディストリビューター)
  3. 二次販売店(サブディスト)
  4. 小売店(リテーラー)
  5. 一般消費者

このように、製品が顧客に届くまでには複数のプレイヤーが関わります。
流通調査では、この「階層構造」をしっかり理解することが大切です。

プレイヤーの把握

次に重要なのは、各階層ごとのプレイヤーをバイネームで特定することです。
単に「代理店」や「小売店」ではなく、「誰が」「どの企業が」つながっているのかを調べます。

例えば、A社のディストリビューターがB社の小売チェーンと強いつながりを持っている、といった情報です。
この「パイプのつながり」を把握することで、どこにアプローチすれば効率よく市場に入れるのかが見えてきます。

競合調査

そしてもう一つ大事なのが「競合他社の調査」です。

  • どこの国の企業が市場に参入しているのか
  • 彼らはどんな製品を扱っているのか

これを調べることで、自社の商品をどのポジションに置くべきかが見えてきます。
例えば、現地メーカーが低価格帯を押さえているなら、自社は高品質・高耐久性で勝負する、
といった差別化戦略が考えられます。

実務的な調査方法

実際にどうやって流通経路を調べるのか。ポイントは3つです。

  1. 展示会・見本市
    現地の主要プレイヤーが一堂に集まる場。名刺交換を通じて、流通のつながりが見えてくる。
  2. 業界団体・商社へのヒアリング
    「この製品を扱っているのはどのディストリビューターか?」と直接聞く。現地商社は特に情報源として有効。
  3. 店頭・現場調査
    実際にスーパーや量販店を訪れ、どの商品がどの会社経由で流れているか確認する。
    棚に並んでいるブランドは流通経路を示す生きたデータです。

まと

流通調査のポイントをまとめると、

  1. 業界の階層構造を理解する
  2. 各階層のプレイヤーをバイネームで把握する
  3. 競合がどんな製品をどのルートで売っているか調べる
  4. 展示会・業界団体・現場調査を組み合わせて情報を集める

つまり、「魚がいる池」を見つけたら、「水を流すパイプ」をどう確保するかが次のステップなのです。

以上、「流通調査(水とパイプ)」についての解説でした。
海外展開を考えるときは、需要と同じくらい、この流通経路の調査も重要です。
なぜなら、どんなに良い商品でも、パイプがつながっていなければお客様に届かないからです。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

社外海外部長・社外COO
海外ビジネスの最大化、ドンブリ経営からの脱却を目指していきませんか?
20年にわたり海外ビジネスに携わり、2度の東南アジア駐在を経験。海外営業マンとして海外の最前線で活躍し、30カ国以上計100社以上の海外企業との販売取引を実現。
また海外現地法人の責任者として外国人組織をリード。会社経営の最適化と事業の活性化に注力。

これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。2025年法人成りし、Atari Consulting株式会社を創立。クライアント企業の内側から、社外海外部長・社外COOとしてコンサルティング支援中。

屋号:Atari Consulting株式会社
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