vol.132 ディストリビューターとエージェントの違いを徹底解説!自社に最適なパートナーを選ぶには?

海外市場への進出を考える日本企業の皆さん、こんにちは。
現地での販売パートナー選びは、海外ビジネスを成功させるための重要な鍵となります。
しかし、「販売代理店」と一括りにされがちなパートナーにも、実は明確な違いがあることをご存知でしょうか?

特に海外では、パートナーシップの形態によって呼び方が異なり、その役割や責任範囲も大きく変わってきます。
今回は、海外でよく用いられる「ディストリビューター(販売店)」と「エージェント(代理店)」の2つのタイプについて、
その違いと選び方のヒントを詳しく解説します。

自社に最適なパートナーを見つけるためにも、ぜひ最後までお読みください。

海外における「販売代理店」の呼び方とその定義

日本では、「販売代理店」という言葉で広く現地の販売パートナーを指すことが多いですが、
海外ではその役割に応じて大きく分けて以下の2つの呼び方があります。

  • Distributor(ディストリビューター):主に「販売店」を指します。
  • Agent(エージェント):主に「代理店」を指します。

これらは単なる呼び方の違いではなく、商品の所有権や在庫の有無、お金の流れといった点で明確な定義が異なります。

では、それぞれの詳細を見ていきましょう。

1. Distributor(ディストリビューター:販売店)

まずはディストリビューター(販売店)についてです。

  • 役割: 自らの責任において、輸出国(日本)から商品を仕入れて、現地市場で在庫を持ち
    販売先に販売するのがディストリビューターです。
  • 商品の流れ:
    1. 日本(輸出者/御社)から海外へ商品が送られる。
    2. 海外のディストリビューターが商品を受け取り、自社の在庫とする。
    3. ディストリビューターが販売先へ商品を配送する。
  • お金の流れ:
    1. 販売先からディストリビューターへ商品代金が支払われる。
    2. ディストリビューターから日本(輸出者/御社)へ商品代金が支払われる。

ディストリビューターのポイント

  • ディストリビューターは御社から商品を買い取り、自社の資産(在庫)とします。
  • 販売価格の設定や販売戦略は、基本的にディストリビューターの裁量に任されます。
  • 在庫リスクをディストリビューターが負うことになります。

2. Agent(エージェント:代理店)

次にエージェント(代理店)についてです。

  • 役割: 輸出国(日本)の輸出者(御社)と海外の販売先の間に入り
    販売契約の仲介を行うのがエージェントです。自ら商品を仕入れて在庫を持つことはありません
  • 商品の流れ:
    1. 日本(輸出者/御社)から海外へ商品が送られる。
    2. 海外の販売先が直接商品を受け取る。
    • ※エージェントは商品の物理的な流れには関与しないのが一般的です。
  • お金の流れ:
    1. 海外の販売先から日本(輸出者/御社)へ商品代金が直接支払われる。
    2. 日本(輸出者/御社)からエージェントへ仲介に対する手数料が支払われる。

エージェントのポイント

  • エージェントは商品の所有権を持ちません。
  • 在庫リスクは、基本的には販売先が負います(輸入者が販売先となる場合)。
  • エージェントの収益は、仲介によって成立した取引に対する手数料となります。

結局、何が違うの?【比較まとめ】

ディストリビューターとエージェントの最も大きな違いは、商品の所有権と在庫の有無、そしてそれに伴うお金の流れです。

項目Distributor(販売店)Agent(代理店)
役割自ら商品を仕入れ、在庫を持ち、販売する販売契約の仲介を行う
商品の流れ輸出者 → 販売店 → 販売先輸出者 → 販売先(代理店は仲介のみ)
お金の流れ販売先 → 販売店 → 輸出者販売先 → 輸出者(代理店は手数料を得る)
在庫の有無在庫を持つ基本的に在庫を持たない
リスク在庫リスク、販売リスク在庫リスクなし(仲介のみ)
収益源商品の販売益仲介手数料

日本企業はどちらを選びがち?選び方のポイント

文字起こしによると、日本企業は比較的ディストリビューターを選ぶケースが多い傾向にあるようです。
しかし、これは業界特性や海外進出の段階、そして企業のリソースによって異なります。
どちらが良い、悪いということではなく、自社の状況に合わせて最適な形態を選ぶことが重要です。

  • ディストリビューターが適しているケース:
    • 現地での販売力やネットワークが豊富で、自社製品の拡販に積極的に投資してくれるパートナーを見つけたい場合。
    • 在庫管理や物流を現地パートナーに任せたい場合。
    • ある程度、現地パートナーに裁量を与え、市場に根ざした販売戦略を展開してほしい場合。
    • ある程度の販売量を期待できる市場。
  • エージェントが適しているケース:
    • まずは市場への足がかりを作り、販売チャネルの開拓を手伝ってほしい場合。
    • 初期投資や在庫リスクを最小限に抑えたい場合。
    • 製品の品質管理やアフターサービスなど、製品自体に関わる部分は自社でコントロールしたい場合。
    • 少量からの取引や、特定の顧客への販売を目指す場合。

御社の海外展開における目標、利用可能なリソース(資金、人員)、リスク許容度、そしてターゲットとする市場の特性などを十分に考慮し、ディストリビューターとエージェント、どちらのタイプのパートナーがより自社の戦略に合致するかを慎重に検討しましょう。

まとめ

海外での現地販売パートナーは、日本の「販売代理店」という言葉で一括りにされがちですが、
ディストリビューター(販売店)とエージェント(代理店)では、その役割、商品の流れ、お金の流れ、
そして負うリスクが大きく異なります。

  • ディストリビューター(販売店)は、商品を仕入れて在庫を持ち、自らの責任で販売を行います。
  • エージェント(代理店)は、販売契約の仲介を行い、手数料を得ます。商品は輸出者から販売先へ直接送られます。

海外市場での成功は、適切な現地パートナーを選ぶことから始まります。
今回ご紹介した違いを理解し、自社の状況に最適なパートナーシップの形態を選択することで、
よりスムーズで効果的な海外展開を目指しましょう。

ご不明な点や、さらに詳しい情報が必要な場合は、専門家にご相談いただくことも有効です。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

社外海外部長・社外COO
海外ビジネスの最大化、ドンブリ経営からの脱却を目指していきませんか?
20年にわたり海外ビジネスに携わり、2度の東南アジア駐在を経験。海外営業マンとして海外の最前線で活躍し、30カ国以上計100社以上の海外企業との販売取引を実現。
また海外現地法人の責任者として外国人組織をリード。会社経営の最適化と事業の活性化に注力。

これらの経験から2023年3月に独立し、GC COMMUNICASTIONSを開業。2025年法人成りし、Atari Consulting株式会社を創立。クライアント企業の内側から、社外海外部長・社外COOとしてコンサルティング支援中。

屋号:Atari Consulting株式会社
住所:愛知県名古屋市中区金山1丁目14-16 トキワビル5階Voltage名古屋
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