
海外展開では、「現地ディストリビューターを見つけること」が一つの大きな目標になりがちです。
しかし、代理店が決まったことで安心し、「あとは現地で販売してもらえばよい」と考えてしまうと、思うように売上が伸びないケースは少なくありません。
海外営業において、ディストリビューターとの契約はゴールではなく、本当のスタートです。
今回は、「現地ディストリビューター任せでは売れない理由」と、「メーカーが果たすべき役割」について解説します。
BtoBではなく「BtoBtoB」の視点で考える
海外営業の商流は、多くの場合、
メーカー → ディストリビューター → リテーラー・工場・販売店・エンドユーザー
という流れになります。
つまり、メーカーからディストリビューターへの取引だけを考えるのではなく、その先にいる顧客まで見据えた営業活動が必要です。
メーカーが考えるべきことは、単に商品を販売することではありません。
- なぜ顧客はこの商品を導入するのか
- どのような課題を解決できるのか
- 他社製品との違いは何か
- どの業界・どの企業をターゲットにすべきか
こうした情報まで整理し、ディストリビューターと共有して初めて、市場は育っていきます。
ディストリビューターは商品より「市場」のプロ
ディストリビューターは、現地の商習慣や文化、人脈には精通しています。
一方で、自社の商品について最も詳しいのはメーカーです。
特に機械・部品・素材など専門性の高い商材では、カタログを渡しただけで販売できるほど簡単ではありません。
商品の特徴を説明できても、
- どの業界を狙うべきか
- どの企業へ提案すべきか
- 顧客のどんな課題を解決できるのか
- 導入メリットをどう伝えるのか
といった営業戦略まで整理されていないケースが多くあります。
その結果、
- ディストリビューターが積極的に動かない
- 商談案件が上がってこない
- 契約したのに売上が伸びない
という状況に陥ってしまいます。
しかし、これはディストリビューターだけの責任ではありません。
メーカー側が「売りやすい環境」を十分に整えられていないことも、大きな原因の一つなのです。
メーカーが行うべき3つの営業支援
私自身、自動車部品メーカーで海外営業を担当していた頃、ディストリビューターの販売力を高めるために、次のような取り組みを行っていました。
① セミナー・体験会の開催
ディストリビューターの顧客であるリテーラーを招き、商品説明会やディナーセミナーを開催していました。
単なる商品説明ではなく、実際に商品を手に取り、体験できるサンプルを用意することで、商品の価値をより深く理解していただきます。
体験を通じて商品の魅力が伝わることで、リテーラーの関心が高まり、注文につながりやすくなります。
結果として、ディストリビューターの売上拡大にもつながり、メーカーと販売代理店の双方にメリットが生まれます。
② ディストリビューターとの同行営業
ディストリビューターの営業担当者と一緒に顧客を訪問し、メーカーとして技術的な説明や導入メリットを直接伝えます。
必要に応じて技術者も同行することで、
- 顧客の疑問をその場で解決できる
- 現場の生の声を聞ける
- 商品改善のヒントが得られる
といったメリットがあります。
さらに、メーカーが同行することで、顧客からの信頼も高まり、「メーカーからも大切にされている販売代理店」という印象を与えることができます。
③ 安全指導・技術講習の実施
商品の性能だけではなく、安全な取り付け方法や正しい作業手順についても指導します。
実際に商品を取り付ける作業者を集め、実演を交えながら講習会を開催することで、安全性と品質の両方を高めることができます。
特に東南アジアでは、日本ほど安全管理が浸透していない現場も少なくありません。
例えば、サンダル履きで作業している現場も珍しくないため、日本式の安全対策や作業手順を紹介すると、
- 作業しやすくなった
- 安全に仕事ができるようになった
と高く評価されることが多くあります。
このような活動は、単なる商品説明ではなく、現場全体の品質向上や安全意識の向上にもつながります。
その結果、
「このメーカーは商品を売るだけではなく、現場までしっかりサポートしてくれる会社だ」
という信頼を獲得することができます。
ディストリビューターと一緒に市場を育てる
海外営業で重要なのは、ディストリビューターを管理することではありません。
ディストリビューターと一緒に市場をつくることです。
- どの市場を狙うのか
- どの顧客へアプローチするのか
- どのようなメッセージで価値を伝えるのか
- 商談後にどのようなフォローを行うのか
こうした営業活動をメーカーとディストリビューターが一緒に考え、実行していくことで、継続的な売上につながります。
ディストリビューターとの契約だけで海外展開は成功しません。
その先にいる顧客まで見据え、メーカー自身がマーケティングや営業活動を支援すること。
これこそが、BtoBtoB型ビジネスにおける海外営業成功の重要なポイントです。
まとめ
海外展開では、「販売代理店を見つけること」よりも、「販売代理店と一緒に市場を育てること」が重要です。
メーカーが積極的にマーケティングや営業活動を支援することで、ディストリビューターはより力を発揮し、市場は着実に成長していきます。
Atari Consultingでは、海外ディストリビューターの開拓だけでなく、
- 市場調査
- マーケティング戦略の立案
- ディストリビューターの選定
- 同行営業
- 商談後のフォロー
まで、実行支援を含めてサポートしています。
「ディストリビューターは決まったものの、思うように売上が伸びない」
そんな課題をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

