vol.153 ディストリビューター任せでは売れない!市場を育てるメーカーの役割

海外展開では、「現地ディストリビューターを見つけること」が一つの大きな目標になりがちです。

しかし、代理店が決まったことで安心し、「あとは現地で販売してもらえばよい」と考えてしまうと、思うように売上が伸びないケースは少なくありません。

海外営業において、ディストリビューターとの契約はゴールではなく、本当のスタートです。

今回は、「現地ディストリビューター任せでは売れない理由」と、「メーカーが果たすべき役割」について解説します。


BtoBではなく「BtoBtoB」の視点で考える

海外営業の商流は、多くの場合、

メーカー → ディストリビューター → リテーラー・工場・販売店・エンドユーザー

という流れになります。

つまり、メーカーからディストリビューターへの取引だけを考えるのではなく、その先にいる顧客まで見据えた営業活動が必要です。

メーカーが考えるべきことは、単に商品を販売することではありません。

  • なぜ顧客はこの商品を導入するのか
  • どのような課題を解決できるのか
  • 他社製品との違いは何か
  • どの業界・どの企業をターゲットにすべきか

こうした情報まで整理し、ディストリビューターと共有して初めて、市場は育っていきます。


ディストリビューターは商品より「市場」のプロ

ディストリビューターは、現地の商習慣や文化、人脈には精通しています。

一方で、自社の商品について最も詳しいのはメーカーです。

特に機械・部品・素材など専門性の高い商材では、カタログを渡しただけで販売できるほど簡単ではありません。

商品の特徴を説明できても、

  • どの業界を狙うべきか
  • どの企業へ提案すべきか
  • 顧客のどんな課題を解決できるのか
  • 導入メリットをどう伝えるのか

といった営業戦略まで整理されていないケースが多くあります。

その結果、

  • ディストリビューターが積極的に動かない
  • 商談案件が上がってこない
  • 契約したのに売上が伸びない

という状況に陥ってしまいます。

しかし、これはディストリビューターだけの責任ではありません。

メーカー側が「売りやすい環境」を十分に整えられていないことも、大きな原因の一つなのです。


メーカーが行うべき3つの営業支援

私自身、自動車部品メーカーで海外営業を担当していた頃、ディストリビューターの販売力を高めるために、次のような取り組みを行っていました。

① セミナー・体験会の開催

ディストリビューターの顧客であるリテーラーを招き、商品説明会やディナーセミナーを開催していました。

単なる商品説明ではなく、実際に商品を手に取り、体験できるサンプルを用意することで、商品の価値をより深く理解していただきます。

体験を通じて商品の魅力が伝わることで、リテーラーの関心が高まり、注文につながりやすくなります。

結果として、ディストリビューターの売上拡大にもつながり、メーカーと販売代理店の双方にメリットが生まれます。


② ディストリビューターとの同行営業

ディストリビューターの営業担当者と一緒に顧客を訪問し、メーカーとして技術的な説明や導入メリットを直接伝えます。

必要に応じて技術者も同行することで、

  • 顧客の疑問をその場で解決できる
  • 現場の生の声を聞ける
  • 商品改善のヒントが得られる

といったメリットがあります。

さらに、メーカーが同行することで、顧客からの信頼も高まり、「メーカーからも大切にされている販売代理店」という印象を与えることができます。


③ 安全指導・技術講習の実施

商品の性能だけではなく、安全な取り付け方法や正しい作業手順についても指導します。

実際に商品を取り付ける作業者を集め、実演を交えながら講習会を開催することで、安全性と品質の両方を高めることができます。

特に東南アジアでは、日本ほど安全管理が浸透していない現場も少なくありません。

例えば、サンダル履きで作業している現場も珍しくないため、日本式の安全対策や作業手順を紹介すると、

  • 作業しやすくなった
  • 安全に仕事ができるようになった

と高く評価されることが多くあります。

このような活動は、単なる商品説明ではなく、現場全体の品質向上や安全意識の向上にもつながります。

その結果、

「このメーカーは商品を売るだけではなく、現場までしっかりサポートしてくれる会社だ」

という信頼を獲得することができます。


ディストリビューターと一緒に市場を育てる

海外営業で重要なのは、ディストリビューターを管理することではありません。

ディストリビューターと一緒に市場をつくることです。

  • どの市場を狙うのか
  • どの顧客へアプローチするのか
  • どのようなメッセージで価値を伝えるのか
  • 商談後にどのようなフォローを行うのか

こうした営業活動をメーカーとディストリビューターが一緒に考え、実行していくことで、継続的な売上につながります。

ディストリビューターとの契約だけで海外展開は成功しません。

その先にいる顧客まで見据え、メーカー自身がマーケティングや営業活動を支援すること。

これこそが、BtoBtoB型ビジネスにおける海外営業成功の重要なポイントです。


まとめ

海外展開では、「販売代理店を見つけること」よりも、「販売代理店と一緒に市場を育てること」が重要です。

メーカーが積極的にマーケティングや営業活動を支援することで、ディストリビューターはより力を発揮し、市場は着実に成長していきます。

Atari Consultingでは、海外ディストリビューターの開拓だけでなく、

  • 市場調査
  • マーケティング戦略の立案
  • ディストリビューターの選定
  • 同行営業
  • 商談後のフォロー

まで、実行支援を含めてサポートしています。

「ディストリビューターは決まったものの、思うように売上が伸びない」

そんな課題をお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

金子 浩二

金子 浩二

海外営業・経営改善支援コンサルタント
海外ビジネスの最大化、ドンブリ経営からの脱却を支援
20年の海外ビジネス経験。2度の東南アジア駐在。海外営業マンとして約30カ国100社の海外企業との取引実績。
海外現地法人の経営者として、外国人組織のマネジメント経験。

これらの経験から2023年3月に独立開業、2025年4月に法人成りし、Atari Consulting株式会社を創立。わかりやすさとていねいさを強みとし、熱量とスピード感を持ってクライアント企業の事業を前進させます。

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